2024年11月10日
愛知インプラントインスティチュート第7回目
歯科医師の前田です。
先日インプラントの講習会に参加してきました。4月から講習会が始まり気づけばあと2回。よりアドバンスな内容の講義を受講する事ができました。
最初に歯科理工学の先生にきていただき、インプラントの材料学および、近年の歯科医療におけるデジタル化、AI技術についての講義を受けました。インプラントはメインはチタンという金属を使用していますが、そのインプラントの表面にはより骨と接合しやすく、かつ生体内で安定するように様々な加工が各メーカーがしています。そのような表面処理が生体内にどのような反応をするのかを分かりやすく解説してもらい、知識の整理をする事ができました。また近年歯科の業界においてもデジタル化という波が進んでいます。当医院でも様々な器具、機械を用いて診療を行っていますが、今現在の最先端の技術がどこまで進んでいるのか、また研究段階ではあるが将来的にどのようなものが具現化してくるのかについて話をしていただき非常に興味深かったです。これからどんどんデジタル化は進んでいきますので、時代に乗り遅れないよう日々情報をブラッシュアップしていく必要があるなと感じました。
次にX-Guideというノーベルバイオケア社の商品の説明を聞きました。この商品は撮影した3次元のCT画像をもとに、あらかじめコンピューター上でインプラントを埋め込む位置や角度をシュミレーションし、実際に手術中に設定した場所へインプラントを埋入するようにナビゲートするソフトになります。今までレントゲン写真や口腔内の状態を術者が頭の中で構築して手術を行なっていましたが、このソフトは全てコンピューター上で画像と実際の映像を重ね合わせる事でリアルタイムに骨の内部の状況を把握する事ができます。実際に使用してみて、より正確にかつ安全にインプラント治療を進めることのできる素晴らしいソフトだと感じました。これからも様々な画期的な技術や装置が開発されていくはずなので、しっかりと有用性を評価して活用していきたいと感じました。
次にインプラントにおける骨組織のコントロール(ソケットプリザベーション、GBR)についての講義を受けました。インプラントは骨の中に埋入するので、骨の形態や厚み、幅をしっかりとコントロールし、必要に応じて、インプラント治療の前に埋入予定の骨の処置が必要となります。その基本知識から始まり様々なケースにおける症例を見せていただき、より実践的な知識、技術を学ぶ事が出来ました。
最後に口腔内カメラの実習を行いました。インプラント治療に限らず、歯科治療において口腔内写真やレントゲン写真は診断に大きく寄与します。そして規格化された口腔内写真を撮ることで比較をする事ができ、より診断および説明等にも使用できるので、患者、術者双方に大きなメリットがあることを再確認しました。
この講習会もあと1回でひとまず終わりです。普段の診療に生かしていけるよう日々努力をしていきます。
2024年10月04日
M&ASSOCIATES 矯正セミナー受講
せこ歯科クリニックの福田です
先週木曜日に東京で開催されたMAアソシエイツのインビザライン矯正のセミナーを受講してきました。
今回のセミナーはDEEP BITEと、前歯OPEN BITEに矯正治療について。
DEEP BITEとは、一般的には過蓋咬合と言われ、咬み合わせが深すぎる状態のことで奥歯を咬み合わせたときに、上の前歯が下の前歯を覆って下の前歯が見えないような咬み合わせだと過蓋咬合と判断します。下の前歯を上の前歯が2~3㎜ほど覆っているのが通常なので、それ以上に深く被さっている場合は過蓋咬合かその傾向があると言えます。
DEEP BITEの問題点は、
・咬合力によって歯牙に摩耗や修復物の脱離や破折が起きやすい。
・顎関節症になりやすい
・出っ歯になりやすい
・上の歯肉に下の前歯がかみ込んでくると、歯肉炎を起こす。
などが上げられ、
どの程度のdeep biteの傾向があるかによって治療対象の有無を判断します。
前歯OPEN BITEとは、奥歯を咬み合わせた時に上下前歯の間に大きな隙間があり、前歯が当たらなくなってしまっている状態のことを言います。
前歯OPEN BITEの問題点としては、
・口呼吸によって虫歯や歯周病リスクが増える
・顎関節症になりやすい
・咬合力による奥歯への負担が増える
などがあげられます。
咬合力による歯牙の摩耗はなかなか気づきにくいことですが経年的な変化で特に顕著になってきます。
DEEP BITE、OPEN BITEの方で、前歯の先端や臼歯部の咬み合わせの面が平らになっている場合は、矯正でかみ合わせの改善をする以外にも、バイトプレートを入れるなどの対策をした方がよいかもしれません。
実際にDEEP BITE、OPEN BITEを矯正治療で改善していく場合には、レントゲン撮影を行ってセファロ分析という骨格や歯列の位置関係を見るための資料採取などを行います。
そのうえで抜歯の必要性の判断や、ワイヤーを用いたマルチブラッケット矯正で行うか、マウスピースを用いたインビザライン矯正で行うかの判断を分析の結果から診断して治療方針を固めていきます。
DEEP BITE、OPEN BITE の場合には、歯の並びだけではなく骨格的な要素によって生じている不正歯列が分析から見えてきます。
もしかみ合わせや歯並び、歯の摩耗などで気になることがあればご相談をいただければと思います。
せこ歯科クリニック 福田泰久
2024年10月01日
愛知インプラントインスティチュート第6回目
歯科医師の前田です。
9月28,29日インプラントの講習会に参加してきました。
今回はまず歯科治療の訴訟等を専門とする弁護士の先生の講義を受講しました。過去の判例から最近のものも取り上げて説明していただき非常に勉強になりました。治療以外にも個人情報の管理やウェブサイトの取り扱いの規則など、まだまだ勉強不足の内容もあり、これを機に知識を増やしていく必要があるなと感じました。そして改めて感じたことは、医療は医師が正しい診断、説明を行い、患者さんが同意した上で進めていくものです。そのプロセスのどこかが欠けてしまったり、うまく意思疎通が取れていないと患者さんとの信頼関係を構築することはできません。普段の診療において、より正確な診断、分かりやすい説明を心がけて、患者さんとより良い関係の上で歯科治療をしていきたいと改めて感じました。
次に総義歯の講義を受講しました。一見するとインプラントとは関係のない内容かと思いましたが、聞けば聞くほど共通点や知っておくべき知識が沢山あり本当に勉強になりました。まず総義歯を作成していく際には、現在の歯肉の状態、粘膜の状態、舌の状態、そして顔まわりの筋肉の状態などを正確に診断をしていく必要があります。また顎関節の動きは人それぞれ違うもので、それを正確に総義歯の噛み合わせに反映させることで、より緊密な咬合を得る事ができます。総義歯の人工歯を配列する位置を決めていく方法も非常に大変な処置ではあるが、噛む力や、周りの組織から加わる力を考慮して進めていく方法に度肝を抜かれました。講義をして頂いた方法で作成する入れ歯は保険のものとは手順も方法も大きく異なるものですが、ここまで正確な入れ歯は毎日使用するものとして、とても価値のあるものだと感じました。
またインプラントを行う上で、患者さんの口腔内の状態を正確に診断すること、またどの位置に最終的な被せ物が来るのが理想的かをあらかじめ想定した上でインプラントを埋入する(補綴主導型)の重要性、またその治療方針の立て方はとても勉強になりました。
GBRや上顎洞挙上術の講義も少し受けました。骨の少ないところ、薄いところにどのように骨造成を行いインプラントを埋入していくか。次回以降により各論を勉強していきます。
そして今回の模型実習は下の前歯を行いました。骨の幅が狭い場所で少しずつ骨を広げていきながら細いインプラントを正確な場所に埋入していきました。シビアなケースほど一つ工程が進む度にチェックを行い、ミスのない治療を心掛ける必要があると改めて感じました。
この講習会もあと2回です。学んだことをしっかりと復習しつつ、診療に落とし込めるよう日々鍛錬していきます。