せこ歯科ブログ
インビザラインの講習会に参加してきました。in東京最終回
歯科医師の前田です。
先日講習会に参加してきました。
今回はインビザライン(マウスピース矯正)の第5回目ということで、前回に引き続いてモニタリング編で、矯正治療中のトラブルシューティングについて学んできました。
前回はモニタリング編の総論ということで、最初に設定した治療計画に基づいて矯正治療を進めていく中でどのような問題が生じてくることがあるのか。またそれを評価するにはどのようなことに注意して治療を見ていく必要があるのか。また生じた問題に対してどのようなリカバリーを考えていく必要があるのかという内容を学びました。
今回はその応用ということで、それぞれの症例において生じやすい問題とは何なのか。またそれをどのように評価して解決していくのかについて詳しく学びました。
ワイヤー矯正と違いマウスピース矯正は取り外しが出来るので、メリットが多い反面外している間は歯を動かす矯正力がかからないので、予定通りに歯が動かなかったり、予期しない動きが出てしまうことがあります。特に抜歯が必要なケースでは、歯を抜いた後は周りの歯が非常に動きやすくなるため、少しのマウスピースと歯とズレやアンフィットがどんどん悪い方向へ進んでしまうことが起こりやすいです。そのために抜歯を行ったケースに関してはマウスピースがたわむことにより生じる前歯や奥歯のアンフィットは出ていないかを確実に確認していくことが大切になります。またマウスピースの交換日数を伸ばしてより確実に歯を動かしていく、矯正用のゴムを用いて歯が予期しない方向に動いていくのを防ぐ必要があります。また問題が生じた場合のリカバリーについても軽度の場合は矯正用のゴムでズレを修正していきますが、マウスピースのアンフィットが大きい場合は新しく装置を作り替える必要も出てきます。
矯正治療で歯を動かしていく上でそれぞれの歯の動きやすさ、動きにくさも考慮して治療計画を立てていく必要があります。前歯に比べると奥歯の方が歯の根の本数も多くしっかりと骨とくっついているために動きにくい事が多いです。ですので奥歯を多く移動させる治療計画を立てた場合には予定通りに歯が動いているかを確実に判断していく必要があり、また奥歯を動かすあまり前歯が予定外の動きをしてしまう場合もあるのでそこも注意しながら見ていく必要があります。
また奥歯が上手く動かない場合、どこに原因があるのかを明確にする必要があります。歯と骨の癒着具合、歯の根の形態、また矯正装置の装着時間や元々の治療計画の不備も考えられます。どこに原因があるのかがわかるとそれを改善して問題を解決する道筋を立てやすくなります。
そしてマウスピース矯正においては追加の装置を発注する事がよくあります。もちろん1回で完璧に歯が動いて計画通りに進めばいいですが、ほとんどがそれほど上手くは行きません。どのような場合に追加の装置を発注するのか、またその時の治療計画はどこに注意して作成していくとより予後の良いものが出来るかも非常に大切になります。
まだまだたくさんの起こりうる問題について学ぶ事ができ、普段の矯正治療のチェックもより順序立てて確実に見落としのないよに進めていく重要さを改めて感じました。早くトラブルに察知する事が出来るとその分対応も早くなるので、結果としてリカバリーもしやすくなります。
今回で講習会のBasic及びAdvanceコースの受講を終えました。この講習会を通じて、大事なことはマウスピースを用いた矯正治療は最初に設定した治療ゴールに向かってしか進んでいかないので、最初に設定する治療計画が本当に大事なのだと改めて感じました。これから学んだ事を日々の診療に反映させてより良い治療を提供出来るよう日々努力し学びを進めていきたいです。